「社員、何人いるんですか?」と聞かれるといつも困る話

経営者の集まりに行くと、必ず聞かれることがあります。

「今、社員って何人いるんですか?」

この質問に、僕はいつも答えに詰まります。

人間の社員はいません。でも、うちの会社にはAIが働いています。セミナーの企画、Webページの制作、メールの仕分け、コンテンツの作成。毎日、かなりの量の仕事をAIがやっている。

「……1人、ですかね。人間じゃないですけど」

こう答えると、だいたい「え、どういうこと?」という顔をされます。

今日は、その「どういうこと?」の中身を書いてみます。

目次

きっかけは、パンクしたから

かっこいい理由があるわけじゃないです。

当時の僕は、完全にパンクしていました。セミナーの企画、集客、顧客対応、資料作成、経理、Webサイトの管理。全部自分。

人を雇っていた時期もありました。でも、教える時間、フォローする時間、合わなかった時のやり直し。うまく回る時もあれば、そうじゃない時もある。経営者なら、この感覚わかってもらえると思います。

結局、自分の負担はどんどん大きくなっていった。朝から晩まで作業して、終わらなくて、寝て、起きてまた同じこと。「明日もこれか」と思いながら布団に入る日が、ずっと続いていました。

そんなときに、たまたま見た動画で「AIが実際に仕事をやる」という世界を知ったんです。

それまでのAIのイメージは、ChatGPTにちょっと質問するぐらいのもの。「便利なツール」ぐらいの認識でした。でもその動画では、AIが資料を作って、コードを書いて、データを整理していた。

「これ、ほんまにできるんか?」

半信半疑。でも、藁にもすがりたい状態だったので、とにかくやってみることにしました。

最初は、ぜんっぜんダメだった

期待して始めたぶん、落差がすごかった。

何を作らせても微妙。Webページを作らせたらガタガタ。コピーを書かせたら、どこかで見たような、きれいだけど何も刺さらない文章。しかも、それをどう直したらいいかすらわからない。

作ったものが形にならない。その連続でした。

「やっぱ使えんやん」と何回思ったかわかりません。

正直、諦めかけました。「こんなことに時間使うぐらいなら、自分でやった方がマシ」と。

でも、自分でやり続けた先に何があるかは、もうわかっていた。また同じパンク状態に戻るだけ。だからやめるわけにいかなかった。

使えないなら、使えるようになるまでやるしかない。そう腹を括って、ひたすら試行錯誤を続けました。

「こいつ、入社初日の新人や」と気づいた

何度もやりとりする中で、ある時ふと気づいたんです。

AIに「チラシ書いて」と言っても、いいものが出てこない。当たり前です。うちの会社のことも、お客さんのことも、何も知らないんだから。

これ、入社初日の新人と同じやなと。

能力はある。でも、うちの会社のことを何も知らない。だから的外れなことをやる。それで「使えない」と怒るのは、新人に何も教えずに「仕事しろ」と言っているのと変わらない。

そこから、AIとの関わり方を変えました。

うちの会社はどんな会社で、誰に届けたいのか。どんな言葉を使って、どんな言葉は使わないのか。全部まとめて、AIに渡した。

そうしたら、出てくるものが変わりました。

完璧じゃない。でも、「方向性は合ってる」ものが出てくる。7割の精度で出てきたものを、自分で磨けばいい。ゼロから全部やるのと、7割を仕上げるのでは、かかる時間がまるで違う。

「これ、いけるかもしれん」

あの瞬間のことは、今でもよく覚えています。

うちの「AI社員」の働きっぷり

今、うちのAI社員はこんな仕事をしています。

セミナーをやるとき。企画書、台本、チラシのコピー、申し込みページ、参加者へのLINE配信の仕組み。全部AIと一緒に作ります。外注したら100万近くかかるような内容です。

毎日のメール。AIが自動で仕分けしてくれて、重要なものだけ通知が来る。大量のメールを朝から1件ずつ開いていく時間がなくなりました。

クライアントの業務も自動化しました。毎日届く発注メールの内容をAIが読み取って、スプレッドシートに転記、カレンダーに納期を登録。全部自動。

このブログ記事も、AIと一緒に作っています。テーマを決めて、下書きを出してもらって、「ここは違う」「もっとこう」とやりとりしながら仕上げる。以前なら半日かかっていたのが、1〜2時間で終わる。

こういう話をすると「すごいですね」と言われるんですが、すごいのは僕じゃなくてAIの方です。僕はただ、使い方をめちゃくちゃ失敗しながら覚えただけ。

ただし、こいつには絶対にできないことがある

AI社員は優秀です。文句も言わない。体調不良で休むこともない。24時間いつでも働いてくれる。

でも、1つだけ決定的にできないことがある。

最終的な意思決定です。

どれだけ優秀でも、「こっちでいく」と腹を括るのは経営者にしかできない。AIは最高の判断材料を揃えてくれる。でも、最後に決めて、その結果を背負うのは自分です。

お客さんの不安に「大丈夫ですよ」と目を見て言うこと。社員の悩みに一緒に向き合うこと。これもAIにはできない。

だから、人が大事じゃないなんて全く思っていません。むしろ逆です。

人は人にしかできないことに集中すべきで、そのために「人がやらなくてもいい仕事」をAIに渡す。僕がやっているのは、そういうことです。

「明日もこれか」が「明日はあれを試そう」に変わった

AIを使い始めて一番変わったのは、業務量じゃなくて、気持ちかもしれません。

パンク状態で「明日もこれか」と思いながら寝ていたのが、「明日はあれを試してみよう」に変わった。目の前の作業に追われるんじゃなくて、先のことを考えられるようになった。

経営者の仕事って、本来そっちのはずなんですよね。

冒頭の質問に戻ります。「社員、何人いるんですか?」

最近はこう答えるようにしています。

「人間は僕1人です。でも、僕よりめちゃくちゃ優秀な社員が何人もいますよ」

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